脳を騙すには

『脳はいかに治癒をもたらすか』より

 

【効率のいいリハビリ】

これは脳卒中に限らずですが、脳が麻痺した四肢を動かそうとして動かせないということを経験すると、「四肢はもう機能しない」ということを学習し、正常な側の四肢ばかりを使うようになります。

 

麻痺した四肢に対応する損傷した脳は、これによってますます衰弱し、麻痺したままになってしまいます。

 

しかし、「正常な側を」ギブスやつり包帯で固定すると、麻痺した側の脳領域で集中的な脳ニューロンの発火が生じ、数十年麻痺した四肢であっても動き始めます。

 

 

柔道初めての海外における黒帯保有者で、原子力の誕生にも貢献したフェルデンクライスは、ナチスがヨーロッパを侵略する中、パリにいる間次第に膝の痛みが悪化し、ひどい時はベッドから起き上がれないほどだったと言います。

 

手術しても失敗の可能性が半分、成功しても膝は硬直したままだろうと言われた彼は、ある日正常な側の脚で飛び跳ねた際に転倒してしまい、正常な脚も負傷してしまいます。

 

何とか家に帰った彼は動けなくなることを恐れつつ眠りましたが、朝になり起き上がるとなんと元々負傷していた脚で普通に立てるようになっていることに気付き驚きます。

 

これは何が起こったのかというと、正常な方の脚が急に外傷を負ったため、脳がさらなる損傷を受けないように、脚に対応した脳マップを抑制されたので、元々負傷していた脚に対応する脳マップが強制的に起動させられたということです。

 

このような脳の働きを使うことで、身体に無理な負担をかけずに身体の機能を再構築していくことが可能でしょう。

 

ボディデザインラボ takeji