透明化

皮膚の感覚をなぞっていく、指先から、頭から。

 

 

筋膜の緊張の具合、全身の関節、神経の通り具合、血管の状態、一つ一つの内臓、左右の差。

 

 

かゆみや痛みにフォーカスすると、分解していく。対象は細かく分解され、粒子化し、透明になる。

 

 

かゆみも痛みも分解すると存在しなくなる。透明化の波を、周囲に波及させ、全身にいきわたす。

 

 

自分のからだはなくなる。身体は自分ではなくなる。

 

 

からだがなくなったら、留まっている感情を観、次々出てくる曖昧な印象を傍観していく。

 

 

それらを分解していくと、自分の感情だったか、どこからきた印象だったか、曖昧になる。

 

 

意識に留まる。意識に留まり続けると、いつの間にか大きな静謐な湖にいる。

 

 

自分の感情と思われるもの、雑多な印象の裏には湖がいるけど、忘れていただけだ。

 

 

自分の感情、印象、意志といわれるものは刹那的に表出したもので、湖は何の影響を受けることもなくそこに在り続ける。

 

 

湖がホームであり、常にいる所、還る所だから、そこに居続けているという確信があり、定期的に還るなら、不安も恐れも、希望も期待もなく、湖だけ在るのを知る。