(本書は前尾繁三郎の秘書を務め、小沢一郎の懐刀と呼ばれた平野貞夫が著者。氏のロッキード事件本は、氏がロッキード事件時国会や国会議員に動きを深く把握していた上に鋭い洞察が加わり、ありありと状況が浮かんでくるくらいリアルな感触のある本だった。田中角栄はアメリカを出し抜き中国国交正常化をした為にキッシンジャーに工作されたという話。)
催眠療法、武術活法、気合術、、最近臨床の世界に入る時興味があったり修得したものを洗い直しています。
より身体の仕組みに迫っている方法があればいつでもゼロから施術方法を再構築する準備はありますが、施術に必要な地の力の部分に常にこだわっていて、それさえあればどんな方法でもやっていけると思っています。
ぼくが臨床の世界に入ったばかりの頃に世話になった技術に、千葉氏に由来する武術活法がありますが、修得したものは当時働いていたストレッチの店にいながら使いやすいものでした。当時はほとんど物理的な調整中心でしたが、大腰筋や梨状筋、腹斜筋といったストレッチでは効果的に対処できない組織も活法で効率よく調整することができました。
千葉氏の活法には瞬間催眠や気合術などの法術が含まれていて、今は改めてそれらに興味があります。
この房州千葉氏の活法、「北辰流」ですが源頼朝が鎌倉幕府を立てる時尽力した千葉常胤によって始まります。
常胤の息子日胤は天台宗総本山三井寺で修行した祈祷師で、彼が法術法力を北辰流に持ち込んだとされます。
刀を抜いた瞬間相手が切られたと思い込む「絶妙剣」は、坂本龍馬の免許皆伝書に記載があるようですが、龍馬は千葉周作が建てた玄武館で表の「北辰一刀流」を学びながら、裏の法術を含めた「北辰流」全体の免許皆伝を受けていたということです。
「坂本龍馬は剣術ではなく薙刀の免許皆伝だ」
という話がありますが、それは坂本龍馬の免許皆伝書に「長刀」という記載があり、これを薙刀と勘違いした人たちの誤解によるもののようです。
皆伝書には「長刀」「絶妙剣」の記載があり、龍馬が北辰流の免許皆伝という「普通ではない」免許皆伝書を何故もらうことができたかということ、これはミステリアスですよね。
それは千葉定吉道場の娘、千葉佐那と実質夫婦の関係にあったことにあります。
千葉佐那は10代で免許皆伝の腕前で、剣術指南に江戸の伊達氏の屋敷に通っていた際、伊達の殿様も「一番美しい」と評した美貌だったとのこと。龍馬は佐那と婚約し、千葉一族となることで千葉一族だけに継承される法術の部分を佐那から伝授されることができた。
実は千葉氏は平将門〜桓武天皇の系譜にある武士集団で、全国に千葉氏ネットワークがあり、常に権力者の裏方として働いてきた一族。千葉道場は北辰一刀流の道場という表の顔を持ちながら、千葉氏が目にかけた腕利きを諜報部員としてリクルートし、情報の集まるサロンという側面があった。
各藩から剣術指南の委託も受けていたので全国から藩士が集まり、剣術指南として江戸城も自由に出入りし、幕臣にも顔が効く千葉佐那がいて、、龍馬が土佐から上京して入り込んだのはそんな所で、龍馬が全国歩き回ったり手紙を送ったり(当時一通飛脚に頼むと10万円ほど)、そんな資金がどこから出ていたかというと千葉氏がスポンサーになっていたということらしく、千葉佐那と龍馬が婚約するに至ったのも、龍馬の意欲、行動力を買った千葉一族からの働きかけがあったという。
千葉氏と龍馬を繋いでいたのは剣術だけではなく実は「妙見信仰」。
「北辰」とは北極星のことで、千葉氏は北極星を神格化した「妙見菩薩」を信仰対象にしている。
北極星を信仰対象としたのは、方位が重要性を持つ騎馬民族まで遡ることができるので、中国大陸由来の妙見信仰はヒッタイトまで遡ることが可能かもしれない。
「妙見」には、物事を見通す、実相を捉える、将来を見通すなどという意味がある。予知能力があったとされる日蓮も妙見菩薩を信仰していた。日蓮は天台宗から出たが、天台宗は護国のためにあらゆる法術を体系に含んでいる。
日本では縄文時代は移動が常だったので、星に対する信仰が主だったとされ、農耕や稲作中心になると太陽の重要性が上がるために太陽崇拝が主流になったとされる。
日本で初めて妙見信仰について理論的にまとめたのは弘法大師とのこと。
千葉氏の先祖将門公は関東を束ねて新皇と名乗った時、人から「あなたはなぜそんなに武術にたけているのか」と聞かれて、「北斗七星から武術の法を授かったからだ」と答えているという。既に将門公の時代、妙見信仰に秘術的なものがあったといえる。
千葉氏は全国に散らばり多くの寺社を保護しています。増上寺を建てたのも千葉氏だとか。
土佐も妙見信仰が盛んな所で、岩崎弥太郎は「星神社」のある妙見山で出世祈願をしていたとか。岡山だけで妙見山と名のつく山は11箇所あるとか。勝海舟は生まれが新潟で、曽祖父が盲人で妙見菩薩を信仰していて、盲人に許された高利貸しで財をなして上京し、その後も勝海舟の家は妙見菩薩を大事にし続けた。明治維新で重要な役割を果たした人たちが妙見信仰と関わっていたということがわかっている。
全国にネットワークを築いた千葉氏、「人たらし」と言われた龍馬は、妙見の法術で人の心理を捉えて入り込み、巧みな情報収集で日本を裏から支え、動かしてきた。
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