「ウイルスは人類に害を与える存在ではなく、共生しようとしているのではないか?」
この仮定は非常に興味深く、色々辻褄も合います。
ヒトの身体も半分がウイルスのようなもので構成されていますが、それらは普段悪さするものではありません。病原体としてのウイルスというのはごく一部ですが、これらはまだヒトに融和しきれていないということができるかもしれません。
オーストラリアでウサギが急増し、農業に被害が出た時にウサギが98%死に至る毒性の強いウイルスを撒きましたが、5、6年するとその致死率は半分にまで下がりました。ウイルスに対して強い耐性を持つ個体が子供を生み、ウイルスに対して耐性のある(融和性の強い?)個体が増えたためです。
ある種の齧歯類は、母乳を飲む時期には母体から毒性の強いウイルスをもらいますが、このウイルスは幼体から子供を産むまでは大人しくしていて、むしろ成長に欠かせない存在であり続けます。子供を産んだ途端に毒性を発揮します。
ヒトが酸素を取り入れることができるようになったのはミトコンドリアのおかげですが、ミトコンドリアは元々外部から侵入した細菌で、ヒトと融和する過程で余分な情報を削ぎ落としていきました。今ではヒトの全細胞にミトコンドリアが含まれています。
このようにして、生物は外部から偶発的に取り込んだ細菌やウイルスとそのまま共生するということがあります。
生物は外部からの異物と共生することで形を変えてきたということは充分あり得ることで、外部からの異物と融和できない個体は死んでいったことでしょう。
文化などもそうですね、純粋な文化というものはなく、全ての文化というものはミックスされたもので、だからこそ続いてきたともいえます。異質な文化を上手く取り入れない文化は滅んでいったことでしょう。